コスパじゃねーよ
山下です、
『コスパ』
と聞くと、イラッとします。
ですから、私自身は可能なかぎり
口にしないぞと決めている単語です。
あなたはどうですか。
「これはコスパが良い」
「あれはコスパが悪い」
なんて普段言っているとしたら
やめた方がいいです。
「お前に言われる筋合いはないね」
と怒られそうですが、私のような意見も
あるんだぞ、ということで聞いてください。
あ、ちなみに
費用対効果 →
cost performance →
コスト・パフォーマンス →
コスパ。
らしいです。
それでは私が『コスパ』でイラっとする
その理由をつらつらと話します。
1)臭い日本語
そもそもの話ですが、『コスパ』という
日本語はかなり怪しい匂いがします。
cost performance という英語自体、
日常的には使われません。
もう存在しないと思った方がいいです。
その英語が「コスト・パフォーマンス」
という日本語になり、一人歩きし、
さらに「コスパ」と略された。
もはや、ただの"変な日本語"なんですよね。
日本語 → 英語 → 日本語(カタカナ)→ 簡略化
というパターンが本当に多いので、
「だったら最初から日本語で言えよ」
と、これまでに何度も指摘してきました。
日本語は英語に訳せませんし、
英語はカタカナ表記した瞬間に日本語ですが、
英語だと勘違いした状態で乱用される。
そして略される。
もうこりごりです。
勘弁してください。
2)お金の意味
次に「お金を支払う」ということは
どういうことなのか。
もう一度考え直す必要がありますね。
本来、全ての物はタダです。
例えば家。
家をつくるための木材は山に生える木。
木は空気と太陽と土と水で育ちます。
木にお金を払って育ってもらう
わけじゃないんです。
無料で育ちます。
その木を切った人が、
「お金と交換するよ」
と言いださない限り、木はタダ。
木を加工し、家を形造る大工さんも
「お金と交換するよ」
と言いださなければ、家はタダです。
食品も、衣類も、ガソリンも、電気も
車も、水道も、ガスも、ダイヤモンドも
全ての物は、元をたどれば無料。
それが有料になっているのは、
それだけの価値があると感じているから。
木の場合だと、育てて、伐採して、
枝葉を落として、加工して、運んでくれた
その仕事に感謝し、その人を尊敬している。
だからお金を支払うわけです。
「これだけの仕事、大変だったでしょう」
「ありがたく使わせていただきます」
という気持ちが、お金を支払う
という行為に現れる。
人と人との心遣い、繋がりなんですよね。
物だけを見たら、それは無料なんです。
気持ちで価格が決まります。
費用対効果(コスパ)という単語には
この人間同士の気持ち・感情がスッポリと
欠落しているわけです。
価格だけでは分からない部分にこそ、
実は非常に重要なものが隠されています。
そして私たちは本能的に、そして常識として
それを知っているんです。
仮に、仮にですよ。
全く同じ2軒の家、AとBがあったとします。
Aは10円、Bは10億円で販売されました。
費用対効果(コスパ)が良いのは
どっちでしょうか。
Aですよね。
10円玉一枚で買えるんですから。
ところが、ここで「感情」の部分を
考えてみましょう。
一枚の10円玉で購入した家。
それと10億円の札束を用意し、
やっとの思いで手に入れた家。
どっちを大切にするでしょうか。
10円で手に入れた人にとって、
その家は10円の価値しかありません。
おそらく適当に扱うでしょう。
掃除もほとんどせず、壁には落書き、
庭も荒れ放題。
何か問題が起こると、
「やっぱり10円だったからな」
と金額のせいにするかもしれません。
一方、10億円を支払った人。
この人にとって、その家は
10億円を支払う価値のある家。
そして、実際に10億円を支払った家。
とても大切にするでしょうし、
部屋も、庭もピカピカにお手入れして
毎日が楽しいでしょう。
だって、10億円も払った家ですから。
何か問題が起きても、家のせいにはせず
むしろ何か良いことがあれば
「やっぱ10億円の家は良いよな~」
と家のおかげだと考えるでしょう。
全く同じ家を10円で買った人がいる
と知ったとしても、
「どうせ10円でしょ」
「欠陥品、偽物でしょ」
と気にも留めないはずです。
この圧倒的な気分の違い。
分かりますよね。
10円と10億円の違いくらい、
つまり1億倍くらいは“気持ち”が
違うわけですよ。
まあ、極端に話しましたが、実際に
安いものは後々問題が多発しますから、
トータルで考えると高くつきますよ。
それ以前に、支払った金額には
その金額相当の気持ちが込められています。
ですから、たとえ同じものであっても
得られる結果が全く異なるわけです。
お年玉でも同じですよね。
お年玉が10円の場合と、10万円の場合。
絶対に10万円の方が喜ばれるでしょう。
その子供は10万円くれた人を好きになり、
一生忘れないかもしれません。
10円だったら真逆です。
「コスパを計算して、10円だよ」
と言われたらどうなりますかね…
見返りを求めないお年玉だからこそ、
金額に込められた気持ちの部分が
ハッキリと見えてきますよね。
..
今後、『コスパ』という日本語は
なるべく使わないようにしましょう。
使ってしまうと、その人自身が
低評価を受けてしまいますからね。
同時に、
「これ、コスパ最強じゃね?」
という人に遭遇したら、全力で
逃げることをオススメします。
必ず影響を受けますから。
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