オレのものは、オレのもの
山下です、
もうずいぶん昔の話ですが、
私は失業保険を受け取ったことがあります。
会社を辞めた直後くらいのことです。
正確にいうと、失業保険の一部しか
受け取ることができませんでした。
うる覚えなのですが、確か毎月30万円ほど
受け取ることができたはずです。
でも、実際には受け取るのって毎回
役所に出向いて面談を受ける必要が
あったんです。
これが結構めんどくさかった。
きっちり決められた日時に出向く
必要があったんです。
当時は、もうヘトヘトに疲れていたので、
今思えばかなりやばい精神状態だった
のかもしれません。
そもそも、元気で会社を辞める人より
元気じゃなくなって会社を辞める人の方が
はるかに多いでしょう。
まあ、明らかに支払いを困難にするような
仕組みがあったことは事実ですね。
それで、2回ほど役所に行けなかったんです。
1日でもズレたら、もう受け取れませんからね。
ですから60万円くらいは受け取れなかった
という記憶があります。
それで、その時思ったんです。
税金とか保険料の徴収はかなり積極的なのに、
支払いとなれば一転して消極的なんだなって。
いい身分だなって、その時思いましたね。
特に役所で働いている人が、偉そうだったり
仏頂面で対応されたりなんかすると、
一言くらい言いたくなるわけです。
所得税なんか払い過ぎている人って
結構たくさんいるじゃないですか。
でも、自分でそれに気づいて、
自分で手続きをしないかぎり、
払いすぎたお金は戻ってきません。
何事もなかったかのように
当然のように没収されます。
まるで乾いた砂漠に落とす水滴のように
サッと吸収され、一瞬で消え去るわけです。
冷静になって何度考えても、これって
役所以外じゃ考えられないことですよ。
例えば、お店で100円の商品を購入した時、
1000円払ったら900円は返してくれますよね。
「釣りはいらねーぜ」
とカッコよくキメない限りは、
必ず返してくれますよね。
商品の価格が100円なんで、100円以上は
受け取れないからです。
100円なら、100円丁度ですよ。
こんなの当たり前。
ところが役所はそうじゃない。
1000円払ったら、平然と、かつ堂々と
その1000円札をポケットに入れます。
それで終わり。
特に
「900円返してくださいよ」
と言われない限り、そのまんま
黙って知らん顔。
後で気づいて店に行っても
「お釣りは請求されていません」
とか
「計算しなかったあなたが悪い!」
とか言われるわけです。
いやいや、おかしいでしょ。
100円の商品なら、100円以上は返金する。
100円以上を受け取ったら“率先して”返す。
この大前提があるからこそ、
支払いが100円以下だったら
「足りないぞ」
と言えるわけです。
だからこそ、代金を堂々と請求できる
わけですし、万引きにも厳しく対応できます。
ところが、
【言われない限り、お釣りは返さない】
となると話は全く違ってきますよね。
お店の人から
「お金を払ってください」
と言われない限り、お金を払わず、
しれっと商品を持って帰ってもOK
ということになりますからね。
店員さんから
「値札があるじゃないか」
「レジがあるじゃないか」
「万引き禁止って書いてあるじゃないか」
と言われても、何の説得力もありませんよ。
だって自分はお釣りをだまし取っている
わけですからね。
ですから、お店側も、お客さん側も
両方が“積極的に誠実であろう”とする
姿勢こそが重要なわけです。
そうですよね。
ところが、お店が大きくなると
「自分たちの方が偉い」と思ってしまう。
「まあ、お釣りくらい返さなくても大丈夫」
「なぜって?」
「なぜなら俺たちは特別だからね」
という話になるわけです。
そんなことが許されるのは
ジャイアンだけでしょう。
お店であれ、政府であれ、規模が大きくなり
傲慢になれば、あとは滅びる運命にある
ということは歴史が証明しているわけです。
受け取るお金はどんどん受け取る。
返すお金は出し渋る。
役所からはそんな匂いがプンプンします。
ですから、これからは規模を小さくするか
誠実になるか、どちらかの変化がない限り、
かなり将来は危ういだろうと私は思います。
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