『テーマで学ぶ 広告コピー事典』の注意点(グラフィック社)

2017/07/21

山下です、

ビミョーな本に遭遇しました。

『テーマで学ぶ 広告コピー事典』

2014年12月25日発行、株式会社グラフィック社

です。

コピーライターといっても、
クライアントさんによって
仕事内容は全く変わるんだな..

ということを再認識できる本。

「どんな仕事があるんだろう」

という疑問に対する一つの答えが
まとめられた本です。

以下、本書の目次と、掲載されているコピーを
1つだけ示しておきます。

もくじ

ものづくり(製造/自動車/航空/通信/住宅)
例:
なぜHondaは、私を生んでくれたんだろう。
2011年、本田技研工業

家族(住宅/自動車/出版/食料品)
例:
面倒みられたくない権利。
1990年、旭化成工業住宅事業部

学ぶ(英会話/通信教育・塾・予備校/大学)
例:
「現在の厳しい状況を考えますと、これ以上の出資、マジ無理ッス」
2011年、ベルリッツ・ジャパン

食(食料/飲料/外食/小売)
例:
とどけ、熱量。
2013年、大塚製薬

メッセージ(食料品/たばこ/出版/陸運/官公庁)
例:
呼び名を変えれば、日本も変わる(かも)。
2003年、宝島社

エコ(自動車/公共/製造/食料品/NPO/電気機器)
例:
あなたが空想したクルマです。
1998年、トヨタ自動車

年齢(化粧品/電気機器/出版/通信)
例:
美しい50歳がふえると、日本は変わると思う。
1997年、資生堂

働く(百貨店/運輸/アパレル/保険/サービス)
例:
サラリーマンという仕事はありません。
1988年、西武セゾングループ

女性(保険/住宅/化粧日/NPO/食料品/電気機器)
例:
それゆけ私
1998年、サントリー

ファッション(アパレル/ファッションビル)
例:
ユニクロはなぜジーンズを2900円で売ることができるのか
2000年、ファーストリテイリング

お酒(ウィスキー/ビール/日本酒)
例:
なにも足さない。なにも引かない。
1990年、サントリー

贈る(ファッションビル/百貨店/食料品/文具)
例:
「父が照れる」を、私がもらう。
2011年、東武百貨店

旅(陸運/航空/官公庁)
例:
消えたかに道楽。
1992年、東海旅客鉄道

飼う(ペットフード/住宅/電気機器/動物用医薬品)
例:
死ぬのが怖いから飼わないなんて、言わないで欲しい。
2004年、日本ペットフード

それそれのジャンルについて、

福部明浩(ふくべ・あきひろ)氏、
藤本宗将(ふじもと・むねゆき)氏、
三井明子(みつい・あきこ)氏、

の3名が概要を解説しています。

そして、コピー事例ひとつづつについて、
11名の現役コピーライターが[コピーの視点]
という解説を掲載しています。

..

コピーライターの仕事は
大きく2つに分けられます。

「ダイレクト・レスポンス・マーケティング(DRM)」用と、
「ブランド・イメージ」用の仕事です。

この2つは真逆で、「悪人」と「善人」を
思い浮かべると分かりやすいです。

「DRM」だと、とても人前では言えないような、でも
心の奥ではいつも考えていることをコピーにします。

「ウンコしたい」「ボコボコに殴りたい」
「他人を蹴落として自分だけ成功したい」

といった野蛮で、本能的な内容です。

反応率が高いですが、
そのかわり評判は落ちます。

「ブランド・イメージ」用だと、真逆。

芸術的で、文学的、感覚的なコピーです。

評判は上がりますが、
反応率はゼロ。

この本で紹介されているコピーの90%は
「ブランド・イメージ」用です。

「売る」ということが目的ではなく、
「良い、かっこいいイメージを持ってもらう」
ということが目的。

目的そのものが全く違うんですよね。

そもそも依頼主が大手企業ばかりなので
当然と言えば当然ですけど。

この本には「DRM」用として全く使えないコピーが
多く掲載されていますから、逆の意味で参考になります。

ビミョーな本と言いましたが、

「コピーの幅を広げるためには役立つけど、
そのまま参考にしてはいけないよ」

という意味です。

日記

Posted by 百年一瞬ブログ