正しい席のゆずり方
山下です、
「私は電車でお年寄りに席をゆずる人間です」
…と私があなたに言ったとします。
これ、偽善です。
席をゆずる行為自体は、良いことかもしれません。
ただ、本来はその行為をわざわざあなたに言う
必要がないんです。
わざわざあなたに言うということは、
「だからイイ人でしょ?評価してね」
という腹黒さがあるから。
席をゆずって人のためになることが目的なら、
わざわざあなたに言いません。
黙ってますよね。
言った瞬間、偽善になります。
それと、実際に席をゆずる時、声をかけても
偽善になってしまいます。
あなた:「あ、ココどうぞ」
老人:「すみませんね~。ありがとね~」
あなた:「いえいえ」
なんていうのも偽善です。
声をかけた瞬間、見返りを求めていますから。
その人から、周りの人々から、
「感謝されたい」
「イイ人と思われたい」
という「評価を上げたい欲」を疑われ、
偽善の容疑がかけられます。
ですから、正しい席のゆずり方は
「黙って電車を降りる」
以外にありません。
私の場合、電車が一旦止まってドアが開いたら、
外に出て、隣の車両へ移動します。
無言で。
そうすれば、相手が目の前にいたとして、
その人が座りたいのであれば座れる状況
になります。
その相手、そして周囲の人全員からみても、
席をゆずったとは思えないでしょう。
単純に下車したんだな、と思います。
ですから、感謝もされません。
イイ人とも思われません。
そして席もゆずれます。
「ゆずりたいけど、逆に怒られるかもしれない」
「だから、迷っちゃいます」
と言いながら、結局座っている若者も
この方法なら言い訳できなくなります。
そもそも、車内の席は乗車券を購入した人
全員に使う権利があるものです。
車内の人全員に座る権利があるんです。
先に座っている人のものではありませんから、
ゆずるとかいう発想にズレがあるんですよね。
そこで私からの提案です。
その名も「席替えシステム」。
自由席と指定席の中間のような仕組みです。
状況に応じて「座れる時間」が決められます。
まず、
乗車時間 ÷ 人数 = 1人が座れる時間
ということにします。
この時間は車内のディスプレイに表示されます。
例えば、席が1つの電車があったとします。
その電車に1人が載っていた場合、
その人は座れますよね。
永遠に座り続けても問題ありません。
ただし、もう1人乗車してきたら話は変わります。
2人とも目的地までの乗車時間が1時間だったら、
1 [時間] ÷ 2 [人] = 0.5 [時間 / 人]
となるので、1人が座れる時間は0.5時間、
つまり30分ということです。
30分経過したら、席替えです。
また、乗車時間がバラバラの場合。
例えば1人が1時間で、もう1人が30分の場合、
30分間は2人が乗車しているわけですから、
30 [分] ÷ 2 [人] = 15 [分 / 人]
となり、15分で席替えです。
ところが、今はこの席替えシステムがないので
先に座った人が、なぜか1時間座り続けるという
おかしな現象が起こっています。
まあ、かなり面倒くさいですから、
席替えシステムが本格導入されるには
まだ時間がかかるかもしれません。
でも、「座れる時間」を表示するだけでも
効果はありますよ。
「女性専用」というポスターを貼るだけでも
みんな読んで、協力していますからね。
少なくとも、先に座った人が独占している
今よりは良くなります。
話を戻します。
良いことをするとき、一番注意することは
「見返りを求めない」
というポイントです。
本人はそのつもりがなくても、
「見返り目的じゃないの?」
と一瞬でも思われないように注意しないと、
せっかくの良い行為も台無しです。
特に、スポーツ競技で言われている
「フェア・プレイ」
とか
「スポーツマンシップ」
については、かなり注意が必要ですよ。
だって、観客が多いですから。
テレビ放送もあれば、さらに多いです。
多く見られていれば見られているほど、
偽善は膨らみます。
もし、満員電車の様子を数億人が観ていたら。
ニュース番組で、ゆずった人が特集され、
翌日の新聞トップに掲載されたら。
席をゆずる人が続出します。
カメラ写りを気にしながら、我先にと
席をゆずるでしょう。
そうなると、本当に良いことをしたいのか、
評判を上げたいという見返り目的なのか、
少し人間不信になるかもしれませんよね。
野球とかサッカーのような人気スポーツでは
「フェア・プレイ」は存在しません。
全部偽善です。
先ほどの電車の話と、理由は同じです。
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