なぜ、火星有人飛行は絶対に片道切符なのか?
山下です、
宇宙旅行について話します。
子供のころ、
「将来の夢は宇宙飛行士です」
って言っていた友人がいました。
今でもたくさんいると思います。
私も当時は、
「なんかスゴそう」
と感じていました。
しかし、今は違います。
全く感じ方が変わってしまいました。
「宇宙飛行士」というネーミング自体、
ちょっと間違っているんじゃないか
と思うようになりました。
地上400 km に宇宙ステーションがあって、
グルグル地球を周回しています。
今は、そこに滞在する人のことを
「宇宙飛行士」と呼んでます。
ちょっと違いませんかね。
飛行しているのは、建物であって
本人は何もしていないように
見えるんですよね。
運転はほとんど自動だし、
主力の作業員は地上から指示を出して
コントロールしています。
ですから、宇宙飛行士じゃなくて
「ステーション訪問者」
とか
「宇宙生活被験者」
とか、呼び方を変えるべきです。
「そんな言い方したら、夢がない」
と言われるかもしれません。
そう、その通り。
今の「宇宙飛行士」には
全く夢がないんです。
なぜなら、もう誰かがやったことを
ただ繰り返しているだけだから。
「次はどこに行こうか」
という話はゼロ。
ただ、同じ軌道を、何年もグルグル
周っているだけじゃないですか。
アメリカが月面着陸に成功した頃、
そりゃ、夢が満載でした。
楽しくてしょうがなかったでしょう。
「宇宙飛行士」と呼ばれて当然だったし、
その名にふさわしい名誉と尊敬を得ました。
ところが、今はどうでしょう。
グルグル周っているだけ..
もう、比べ物にならないほど退屈です。
どうしてこうなってしまったのか。
あれだけ短期間で月まで行けたんですから、
今頃はもう火星くらい余裕で行っていても
全く不思議じゃないです。
でも、行かない。
行こうともしない。
ロボットは行ってますよ。
でも、人間は行かない。
ずっとグルグル周っているだけです。
いろいろ理由はありますが、一番大きなのは、
「放射線の防護ができない」
という理由です。
これはもう、致命的。
地球を取り巻く「磁気圏」を出ると、
凄まじい量の放射線を受けます。
被曝するんです。
おおよそ6万 km 以上離れると、
磁気圏を出てしまいます。
そうすると、もうヤバイです。
太陽からの放射線を防ぐバリアがなくなり、
健康の保証はなくなります。
自殺行為そのもの。
だから、行かないんです。
乗組員の安全を確保しようとすれば、
銀行の地下にある金庫のような分厚い壁
を用意する必要があります。
でも、それだと重すぎます。
アルミ缶みたいに、押したら凹むくらい
ペラッペラに軽量化しないと宇宙空間まで
届かないというのが常識ですから、
ムリです。
今の宇宙ステーションは400 km ですが、
それでも地上だと6ヶ月かけて被曝する量を
1日で受ける環境です。
今はここまでが技術の限界なんでしょう。
当然、もっと行きたいですよ。
行けるもんなら、どこまでも行きたいですよ。
今のところ、例えば火星まで行けば、
どれくらい被曝するのかというデータは
もう分かっています。
ロボットで何度も観測しています。
公開はしませんけど。
それで、近い将来、火星有人飛行が行われます。
これは、必ず片道切符です。
被曝で死亡するリスクが極めて高いので、
「帰らなくてもいい」という人だけが
人類初の挑戦を許されます。
その人こそ、真の「宇宙飛行士」です。
人類の未来のため、自分の命を捧げる人。
グルグル周っているだけの、
自称「宇宙飛行士」とは、
もう全く違いますからね。
とりあえず、私たちが気軽に宇宙旅行を楽しめる
そんな時代は、すぐ来ません。
今までのロケットエンジンとは違う、
全く新しい技術が登場しないかぎり、
とにかく放射線を防げませんから。

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